登山に欠かせないウェアや装備のメンテナンス方法

山登りが流行してきたのをきっかけに、山ガールと言う言葉も生まれて、多くの方が山へ登るようになりました。山登りを楽しむ方が増えたことは非常に嬉しいことですが、山登りは様々な危険を伴いますので、十分な準備が欠かせません。特に装備はファッション重視ではなく、あくまで機能性を重視しましょう。見た目ばかりで実際に役に立たない装備では、重大な事故や怪我につながる恐れがあります。また、その性能を維持するためにもメンテナンスは欠かせません。そこで、まずは山登りに必要な装備の中でも、特に重要な3つの装備のメンテナンス方法を見ていきましょう。

トレッキングブーツのメンテナンス

山登りには絶対に欠かせない装備の一つがトレッキングブーツです。どんな天候からも、どんな悪路からも足を守ってくれるトレッキングブーツは、山登りには絶対に欠かすことができません。選び方も重要ですが、それ以上にメンテナンスが重要です。しかし、山登り初心者の方が怠りがちなのがトレッキングブーツのメンテナンス。山登りをして帰ってきて、トレッキングブーツをそのまま放置してはいけません。

もし放置していたなら、すぐにお手入れをしましょう。まずは表面の汚れをとります。泥などで汚れた状態を放置してしまうと、丈夫なトレッキングブーツといえども傷んでしまいます。
次に山登りに行く時に、トレッキングブーツのソールがひび割れたり剥がれてしまったら耐久面で問題ですよね。そうならない為にも、山登りが終わったらきちんと汚れを落とすなどお手入れをしてあげましょう。

トレッキングブーツの汚れは、事前に防水スプレーをかけておくと、汚れにくくなる上に防水加工もできるのでお勧めです。また、こうしてトレッキングブーツのお手入れをすれば、靴の傷んでいる部分がわかったり、修理が必要かどうかが見極められたりします。山に登っている途中で気がついても遅いですからね。

トレッキングブーツのお手入れは、表面ばかりではありません。内側もしっかりと綺麗にしましょう。内側はそんなに汚れていないと思うかもしれませんが、登山はたくさんの汗をかきます。当然ですが足もいっぱい汗を掻くので、トレッキングブーツの内側も汚れているのです。ひどい場合は内側がカビてしまうこともあるので、中敷を外してしっかり中を洗いましょう。靴の中身を洗うのは中性洗剤で問題ありません。汚れを落としてしっかりすすいだら、陰干しをしましょう。完全に靴が乾いたら、最後に防水スプレーをかけて完了です。

レインウェアのメンテナンス

天気が変わりやすい山の上では、レインウェアは必須アイテムです。

山の上は風が強いので、基本的に傘は役に立たないと思った方が良いでしょう。ですから、レインウェアを必ず準備します。カッパ等であれば、両手が空くので登山の時に役立ちます。ただ、雨具もお手入れを怠っているとその性能は低下しますし、いざという時に使えないなんて事にもなりかねません。雨具も使うたびにしっかりとお手入れをしましょう。

どのようにするかというと、まずは汚れ落としの為に洗濯をしましょう。ただし、雨具の種類によっては自宅で洗濯ができない場合もあるので、持っている雨具が洗濯可能かどうか確認してから行ってください。雨具が洗濯可能であることがわかったら、洗剤を入れて洗濯機を回します。雨具には普段使っている洗濯石鹸ではなく、合成洗剤を使って洗濯することをお勧めします。洗濯の工程ですが、すすぎはしっかりと行いますが、脱水機にはかけないでください。雨具を脱水機にかけてしまうと、洗濯機が壊れてしまう恐れがあります。乾燥機なら使用可能なものが多いですが、念のため乾燥機が利用可能かも確認してから行います。

最後は陰干しをして、完全に乾いたらレインウェア用の撥水加工スプレーを吹きかけましょう。レインウェアもだんだん撥水性が落ちてきますので、定期的にスプレーをしておくことが大切です。

バックパックのメンテナンス

山で必要な様々なものを持ち歩けるバックパックも、お手入れをしない方は多いですが、必ず登山後はお手入れすることをお勧めします。例えば、登山の際に雨に降られたり、強風や砂嵐にあったりすれば、当然バックパックも汚れます。汚れをそのままにしておくとそこから劣化してしまう恐れがありますので、汚れは必ず取るようにしましょう。

また、登山用のバックパックにはいろいろなものを入れるポケットもついています。それらが劣化して千切れそうになっていないか、ショルダーハーネスはしっかりとしているか、閉まらなくなっているジッパーはないかなど点検をします。汚れがひどい場合には、洗剤をつけて水洗いをしましょう。水洗い後は陰干しをして、乾いたら撥水加工のスプレーを全体にかけます。雨の時はカバーをかけるかもしれませんが、本体にも撥水加工をしておいた方が、より浸水を防ぐことができます。

登山で注意すべき病気(脱水・熱中症・低体温症・高山病)と外傷捻挫について

登山をするにあたり、みなさんしっかりと準備をしてくるでしょう。もちろん、前日にはしっかりと睡眠をとるなどの基本的なところはおさえているはずです。しかし、どんなに準備を整えても、どんなに気をつけていても、想定していない事態が起きてしまうことがあります。それが病気や外傷捻挫などの怪我です。登山途中での病気や怪我は、その程度によってはすぐさま登山を中止して下山することを考えてくてはなりません。また、山では基本的に応急処置しかできませんが、その応急処置によってその後の病状にも影響がありますので、どんなトラブルに見舞われても、冷静に対応できるように怪我や病気に関する知識を蓄えておきましょう

脱水・熱中症

登山をしているとよく見かけるのが、脱水症状や熱中症です。登山は思った以上に体力を消耗します。そして、それと同時に多くの水分を奪われていきます。知らず知らずのうちに水分を失ってしまい、脱水症状になっている場合があるのです。

山によってはトイレが設置されていたり山小屋がありますが、そうではない山もあります。ですから、なるべくトイレに行かなくていいようにと水分の摂取を控えてしまうと、脱水症状を起こしてしまいます。このような症状を予防するためには、やはりこまめな水分補給が欠かせません。同時に塩分を摂取することも忘れてはいけません。塩分と水分をしっかり補給することで、予防ができます

これらの対策は熱中症予防にも効果があります。登山は見た目以上にハードですから、汗をたくさんかきますし太陽の日差しにさらされて熱中症になってしまうこともあります。帽子やタオルなどで頭部や首を覆ったり、冷たい水で体を冷やすなどの対策も欠かせません。

低体温症

人間の体温は、ほんの少し下がっただけで低体温症となり体が機能しなくなります。一般的には34度より下がると死の危険があると言われているほどです。登山における低体温症は、実はそう珍しいことではありません。山を登っているんだから汗をかいて体は熱くなっていると思われがちですが、山の上は地上よりも気温が低く、その上とても強い風が吹いています。ですから、汗で濡れた服や雨に濡れた服は、時として一気に身体中の体温を奪っていくのです。

そうした事態を避けるためには、まずインナーは汗が乾きやすい素材のものを着ることをお勧めします。スポーツや登山向けのウエアにはこういったものがたくさんあります。そして、アウターにはゴアテックスのような、しっかりと水を弾いてくれるものを着ましょう。もちろん、雨に備えてレインウエアを準備しておくのも良いです。山の天気は非常に変わりやすいので、さっきまで晴天で暑かったと思ったら、急に雨が降り出し気温が一気に下がります。ですから、こうした備えは欠かせません。ただし、常に着込みすぎていると、体温が上昇しすぎて脱水や熱中症になってしまう恐れがあるので、暑いと思ったら一枚脱ぐなど状況に応じて調整をしましょう。

高山病

高山病は、山に登って行って気圧が低くなると起きる病気です。気圧が低くなっているために、呼吸で体内に取り込むことができる酸素の量が少なくなってしまうことで高山病となります。登山に向けてしっかりと睡眠をとり体調を整えていても、なる時にはなってしまうのが高山病の怖さです。高山病はまず頭痛などの軽い初期症状から始まります。そして、次第に疲労感に見舞われたり、めまいや吐き気などが襲ってきます。こうした症状が現れた場合、まずは休みましょう。ただし、寝るのではなく歩いたりして体を動かしていた方が症状が改善しやすいと言われています。休憩をして症状がなくなればいいですが、もしも変化がなかったり、より悪化した場合にはそれ以上進むのはやめて下山するようにしましょう。

外傷

山では思わぬ怪我に見舞われる可能性が有ります。例えば転んだり、どこかにぶつかったり擦りむいたり、こうした外傷は割とよくあることです。ですから、山を登る際には、ファーストエイドキットを持参することをお勧めします。ファーストエイドキットとは、応急処置用の救急箱のようなもので、絆創膏や消毒液などが入っています。大怪我をしてしまった場合は、救助が必要となる場合がありますが、そこまでではない怪我や、救助が来るまでの応急処置にはファーストエイドキットが役立ちます。

捻挫

登山道は決して路面状況は良くありません。山によっては崖のようなところをよじ登ったり、道ではないような場所を通ることがあります。そうした場所を歩いていれば、時には足を捻挫してしまうことだってあります。でも、山の途中で捻挫してしまったからといって、そこで立ち止る訳にはいきませんよね。ですから、もしもの捻挫に備えて必ずテーピングを持参しておきましょう。そして、万が一捻挫してしまった場合には、足首を固定するなどして痛みを和らげる処置をし下山しましょう。そして、下山後は患部を冷やし、病院へ行きましょう。

登山における天気の判断とさまざまなトラブルの対処法

山登りは季節を感じたり、自然を楽しむことができる素晴らしいものです。老若男女問わずできる山登りは、健康の為にも良いのですが、山登りにはいろいろなトラブルがつきものです。事前の準備でしっかりとトラブルに対処できるようにしておきましょう。また、天候が変わりやすいのが山の特徴でもありますので、山登りと天気の判断についてもご紹介します。

山の天気は変わりやすい!

山の天候は本当に変わりやすく、判断を誤ると重大な事故に繋がりかねません。特にあまり山に登った経験がない方は、判断を誤りやすいだけでなく、万が一山で悪天候に見舞われた際には危険を伴います。山へ登る前には、しっかりと天候についての下調べと、万が一の場合に備えた準備をしましょう。山の天候を知るためには、まず天気予報を見ます。もしも、周辺の天候が不安定であったり、何らかの注意報や警報が発令されている場合は要注意です。初心者の方なら山へ登ること自体を中止しても良いくらいです。また、予報を見る場合には、一般的な予報だけではなく、天気図からその後の天候の動きを読み取ったり、山専門の予報などをチェックすることもおすすめします。しかし、そういった予報などの情報だけでは決められない場合もあります。空の様子を観察することも必要ですし、あとは山の天候をよく知っている登山者や山小屋などで天候について聞いてみるのも良いでしょう。山の大きさが大きくなればなるほど、天候の変化もありますし、悪天候になった場合の影響も大きくなります。自分の力や判断を過信せず、危険があると思ったら中止する勇気を持つことも重要です。

(1)強風

山は上に登れば登るほど風が強くなります。晴天でも割と強い風が吹いていますから、悪天候になるとその強さは想像以上です。よく、台風の時などテレビの天気予報で風速を伝えている場面があると思います。台風の場合の風速はだいたい15メートル前後が多いですが、山の上で吹く風の強さは、時にこれを超える風速20メートル超となる場合もあります。山の上での強風が怖いのは、強い風にふかれて足下をすくわれてしまい、滑落する可能性があることです。風程度と甘く見ていると、崖下に転落してしまう可能性があることを忘れないでください。また、山の急な下り坂は、一度転げおちるとどんどんスピードが増していき、止まることができなくなります。

(2)降雨・増水

地上では晴天なのに、山の上だけ急に曇ってきて雨が降ってくることがあります。山の上での雨は、決して傘は使わないでください。と言うより、ほぼ傘は役に立ちません。山の上は風が強いので、傘だとすぐに壊れてしまうでしょう。また、傘では手がふさがってしまうので、危険もあります。必ず山へはカッパやレインウェアといった雨具を用意しておきましょう。リュックが防水でない場合は、ザックカバーというものがありますので、これをかければ中の荷物が濡れるのを防げます。

(3)濃霧

山では雨や風と同様に、突然濃い霧に襲われることがあります。山で発生する霧は、街中で発生するそれとは比べ物にならないほど濃く、一寸先が道なのか崖なのか分からないほど濃くなることがあります。そのため、足を踏み外して滑落してしまったり、方向を見失って現在地が分からなくなり、遭難してしまうことがあります。もしこのような濃霧に襲われてしまった場合には、無理に動き回ることはせず、霧が晴れるまでその場で待つことも必要です。これを「ビバーク」と呼び、緊急時にその場で野営することを言います。

(4)雷

山の途中でもし雷の音が聞こえたら注意が必要です。まずは雷がおちやすい尖った金属を下に降ろします。傘などをリュックにさしている場合は、外して手に持ちましょう。木の根本も危険なので、木の幹からは2メートル程度は慣れた場所が最適です。近くに山小屋があれば、中へ避難しましょう。

登山で危険な動物・昆虫

山にはたくさんの動物や虫が生息しています。こうした生き物を見かけることも、山登りの楽しみの一つではありますが、中には危険な動物や虫もいますので、注意が必要です。山で特に注意しなくてはならないのが、スズメバチです。時々ニュースでもスズメバチに襲われたことが取り上げられています。ハチに襲われないためには、なるべく黒い服装を避け、ハチを見かけても騒がないよにしましょう。また、山によってはクマが出没する地域もあります。クマが出没する可能性がある山へ登る場合には、熊鈴を用意しておくのも良いでしょう。

道を間違えたり迷ったら

地図を読み慣れていない方に多いトラブルが、道の間違えです。間違ったと気がついたら、まずは来た道を戻りましょう。来た道も分からなくなってしまった場合には、地図とコンパスを頼りにして登山道を目指します。この時に大事なのは、道が分からなくなった場合には必ず登りながら道を探すということです。登っていけば登山道や見晴らしの良い場所にたどり着けますが、下ってしまうと登山道からどんどん外れてしまって修正ができなくなってしまう恐れがあります。

予定時間をオーバーしてしまったら

日帰りのつもりが、予定よりも時間がかかってしまったり、時には道に迷ってしまったりして下山予定時間を超えてしまうこともあります。そういう場合に備えて、必ずヘッドランプなども準備しておきましょう。山道は暗くなると非常に歩きにくく、危険性も増します。また、暗くなってしまった場合、予定を変更して下山したり、近くの山小屋へ避難するなどの緊急的な判断も必要となります。

登山地図の見方と必要性について

登山をする時に持っていく地図は、とても重要なものです。しかし、その必要性を初心者の方は理解していない方も多いですね。また、登山に利用するのは普通の地図ではなく、登山用の地図になります。こちらでは、登山の際に必要となる地図の種類や、見方についてもご説明させていただいていますので、これから登山をされる予定の方はご覧ください。

1.登山地図の必要性

登山をする際には、必ず地図とコンパスを持参するのが基本となっています。しかし、登山初心者の方は特にその地図の必要性についてあまり理解されていないようです。特に近年は、携帯電話やスマートフォンの発達により、GPS機能を利用できる端末があるので地図を持たずに山へ入る方も多くなってきています。確かに、こうした電子機器は便利ですし登山でも利用することはできます。しかし、電子機器の場合、バッテリー切れや電波が拾えなくなる、故障するといったデメリットがあります。ですから、これらの電子機器を利用するのは構いませんが、合わせて必ず地図も持参するようにしましょう。また、地図はただ位置や方角を確認するためだけのものではありません。登山用に作られた地図の場合、登山コースが記載されていて、スムーズに山を登るのに役立ちますので、見方を覚えておくのもおすすめです。地図の中にはそのコースの目安タイムが書かれているものもありますので、こちらも目安となります。登山コースによくある山小屋や休憩場所の記載もあるので、登山スケジュールを立てやすいというメリットもあります。その他、山によっては登山コースの途中で見所となる景色があったり、観光スポットがあったりもします。そういったものも、スマートフォンのマップでは確認できなかったりしますので、地図で確認するのがおすすめなんです。

2.登山地図の種類

登山で利用する地図はいろいろな種類があります。どれでなければならないということはありませんが、それぞれ特徴がありますので見ていきましょう。

(1)登山地図

登山をする時に持って行く地図といえばこれ、と言うくらい有名な地図があります。それは、旺文社から発売されている「山と高原地図」と言う地図です。40年以上前から販売されている定番の地図で、エリアごとに分かれて販売されています。1冊900円ほどなので地図としてはやや高価なものとなります。ですが、国内の主要な山の地図がありますし、中身も非常に充実していることから、登山者には人気となっています。購入すると、中には地図だけではなく、その山周辺の情報が書かれたガイドブックも同封されているのが嬉しいところです。また、地図は防水加工が施されていますので、ちょっとした雨や水で破けてしまう心配がありません。縮尺は地図により異なりますが、多くが5万分の1となっています。地図を開くと、登山口から始まり、実際に歩くルートが記載されています。ルートによっては分かりにくいものも、点線で記載されていますので、わかりやすくなっています。もちろんコースごとにタイムも記載されていて、どこまでどれくらいのタイムで行くべきかの目安もわかりやすく記載されています。地形が変わる場所や、注意して通る場所なども記号で表示されています。同封されている周辺ガイドには、登山をするにあたり必要となる情報以外にも、周辺の植物や見晴らしの良さ、コースの全体像などが書かれていますので、事前に読むと当日の参考となります。

(2)2万5000分の1地形図

5万分の1の地図よりもさらに詳細な情報が確認できる2万5000分の1の縮尺の地図があります。山全体の情報を得る場合には、5万分の1の地図の方が見やすいですが、より詳細な情報を得るには2万5000分の1の方が良いのです。ただし、山全体の地図を2万5000分の1で用意してしまうと、広げる際にかなり大きくなってしまうので、見にくくなってしまう場合があります。ですから、ベストは両方の縮尺の地図を持参することです。

3.どんなときに地図を見るのか

登山をする時に地図を見るタイミングですが、常に地図を見ながら歩くのではありません。まずはじめに地図を見て途中までのルートを頭に入れてます。そして歩き進めていき、頭の中のルートと実際のルートが曖昧になってきたら、再度地図を見て確認をします。初心者の方は5分から10分間隔で地図を確認しながら歩くと、間違いがなくて良いでしょう。もちろんその前でも情報が曖昧になったら、地図で確認します。地図を見ながらの登山に慣れてくると、頻繁に地図を確認しなくても歩けるようになってきます。さらに、地図を見ると登山ルートを頭の中でリアルにシミュレーションすることができるようになるので、地図を見ながらの登山がより楽しくなってきます。ここまでくると、地図はただの情報源ではなくなりますし、地図を見ただけでも楽しむことができるようになるでしょう。

登山での食事 行動食にぴったりの食べ物は?

登山には景色を楽しんだり、達成感を味わうという楽しみもありますが、登頂した時に食べるお弁当も楽しみの一つです。また、頂上まで到達するには、体力の維持が必要になるので、登りながら栄養やカロリーを補う必要があります。歩きながら食べる食事を行動食といいますが、どんなものを持参すればいいでしょうか。また、お弁当は予め作って持参する場合と、登頂してから調理する場合があり、調理する場合は調理器具も必要になります。

行動食の選び方

行動食は軽くてかさばらず、素早く食べられるものが便利です。ザックをいちいち下ろさなくてもいいように、ポケットに入れられるサイズのものを用意しておくのもいいです。また、栄養のバランスがとれていて、高カロリーのものを選びます。食感はパサパサしているものよりも、水分が多いもののほうが食べやすいです。

おすすめの行動食

(1)ゼリー系飲料

ゼリー系飲料は飲みやすいので1つ入れておくと重宝します。歩きながら少しずつ飲みましょう。ウィダーインゼリーのGOLDのようにローヤルゼリー、クエン酸、アルギニン酸、BCAA(バリン、イソロイシン、ロイシンという必須アミノ酸の総称で筋肉のエネルギー代謝を助ける)が入っている栄養価の高いものもあります。消化吸収がよく、水分補給にもなるというメリットがありますが、重さがあるのでたくさんは持って行けません。

(2)カロリーメイト・チョコバー(スニッカーズ)

カロリーメイトはかさばらず手軽に食べられます。たんぱく質、ビタミン、脂質、糖質、ミネラルをバランスよく含んだ栄養バランスの良い食品でもあります。チョコレートを持って行く場合は、板チョコだと直射日光に当たってザックの中で溶けた場合不便なので、個包装のものがいいでしょう。また、スニッカーズやソイジョイなども食べやすいです。

(3)ドライフルーツ・ナッツ

ドライフルーツはいろいろな種類があるので、好みのものを選べます。栄養価も高く高カロリーなので行動食に向いています。カロリーも高く、例えばカシューナッツは10粒で90カロリーあります。ピーナッツやアーモンド、松の実には血行を良くするビタミンEも含まれています。

(4)アメ・グミ

アメやグミはポケットに入れておけるので取り出しやすく食べやすいというメリットがあります。グミに含まれる糖分は果糖なので吸収がいいです。アメもいろいろな種類があるので好みのものを持って行けます。レモンやグレープフルーツなど柑橘系の味や、クエン酸パウダー入りのアメが疲労回復に良いと感じている人もいます。

(5)ジャーキー・鮭とば等おつまみ

ジャーキーやソーセージはカロリーも高く手軽に食べられます。プリマハムの北海道十勝カルパスは皮をむくことなくそのまま食べられる便利なドライソーセージです。鮭とばは秋鮭の切り身を干したもので、ビーフジャーキーに比べるとカロリーは低いです。おつまみ系は塩分が多く、汗をかいたときの塩分補給はできますが、たくさん食べると喉が渇いてしまうので食べ過ぎないようにしましょう。

山で食べるご飯は最高!

(1)お弁当に向いているもの

お弁当をあらかじめ作っていく場合には傷まないように保冷に注意します。梅干のおにぎり、すし飯で作ったもの、例えば稲荷ずしや太巻きずしなども傷みにくいです。登頂してから調理して食べたいと思う場合は、乾物類を持って行くと便利です。サラスパや、高野豆腐、切り干し大根、ヒジキなどは調理に時間がかかりません。野菜もいろいろな種類の乾燥野菜を持って行けば料理のバリエーションが広がります

(2)調理器具基本の3点セット・バーナー

バーナーは鍋料理で使用するコンロと同じ機能の調理器具です。燃料はガソリン、アルコール、ガスがありますが、登山ではガスバーナーを使用するのが普通です。軽量でかさばらず、低温でも火力を保ちやすいという特長があります。クッカー(鍋)の中にバーナーとガスカートリッジを収納して空間を節約することができます。

・クッカー

クッカーは鍋のことです。フタ部分はフライパンや取り皿として使用できます。本体部分も調理だけでなく、お茶やスープを飲むのにも使用できます。円筒形タイプと角形タイプがあり、円筒形タイプが一般的ですが、角形タイプは角があるので液状のものを注ぎやすく、調理がしやすいというメリットがあります。

素材はアルミのものは安価で熱伝導率もいいので調理に向いています。ただ、へこみやすいのが欠点です。チタン製は軽くて丈夫です。デメリットは値段が高く、熱伝導率が悪いという点です。お湯を沸かしたり簡単なスープを作る程度ならチタン、調理をすることが多ければアルミがいいでしょう。

・カトラリー

カトラリーは食事をする時に使うナイフ、スプーン、フォーク、箸のことです。素材はプラスチックや、木、ステンレスなどがあります。木は温かみがあり雰囲気を楽しめますが、手入れが必要です。プラスチックは、軽いですが油が落ちにくく見た目も安っぽいので雰囲気を楽しみたい方には向きません。ステンレスは他の素材よりも重くて値段も高いですが、割れませんし、油も落ちやすく手入れも簡単です。

呼吸の仕方で疲れ方が変わる!登山の際の効果的な呼吸法

山登りでは歩き方に加えて正しい息の吸い方・吐き方も大切です。山を歩く時には、平地を歩くよりも多くの酸素を必要とします。特に、高い山に登っている時には、空気が薄い状態の中で、体に大きな負担をかけながら歩くことになるので重要なポイントになります。どうすれば、効率的に酸素を補給できるでしょうか。息をする際の仕組みと登山時の正しい息の吸い方・吐き方について考えてみましょう。

呼吸の仕組み

私たちは心臓の動きをコントロールすることはできませんが、息を吸ったり吐いたりすることはある程度自分でコントロールすることができます。ところで息を吸うと肺が膨らんで、吐くと肺が収縮すると思いがちですが、実は肺自体には膨らんだり収縮したりする機能はありません。胸郭あるいは横隔膜の働きにより、肺に空気が満たされたり出て行ったりできるようになっています。

肺は胸郭の中に納まっていますが、胸郭を広げる働きをするのは外肋間筋と呼ばれる筋肉です。息を吸う時には外肋間筋が肋骨を持ち上げて胸郭を前後左右に広げ、吐くときには内肋間筋がろっ骨を引き下げて胸郭を収縮させます。

これに対して横隔膜を使うのが腹式呼吸法で、登山で勧められているのはこの方法です。ちなみに女性の場合は肋間筋を使用する場合が多いと言われているので、腹式を意識して登る必要があります。普段の生活でも腹式で息をするように心がけましょう。これは高山病の改善にも活用できる方法です。

登山時の呼吸法

マラソンの時には2回吸って2回吐くという方法が勧められますが、それはこの方法だと効率的にガス交換ができからです。私たちは安静にしている時でも、1回に450~500mlの空気を吸いこんでいます。ただ、吸った空気がすべて肺に送り込まれるわけではなく、一部の空気は気道に残ってガス交換されないまま外に吐き出されてしまいます。気道は死腔(しくう)とも呼ばれるため、気道に残った空気の量を死腔量といいます。死腔量は正常な人なら150mlです。

仮に1回に500mlの空気を吸い込んだとしても、肺に到達するのは350mlです。150mlは失われます。もう一度息を吸うと、やはり肺に到達するのは350mlで150mlはロスになります。結果的に2回息を吸って肺に到達した空気は700mlということになります。

一方、2回連続で息を吸うとどうでしょうか。1回目に350mlが肺に送り込まれ、150mlが気道に残るのは同じなのですが、すぐに2回目の空気が送り込まれるので、それによって気道に残っていた150mlの空気と2回目の350mlの空気が入っていくので、合計で850mlの空気が肺に入りガス交換されることになり非常に効率的です。もちろんこの方法には慣れないという方はムリをしないでください。

さらに、250mlの空気を吸った場合も1000mlの空気を吸った場合も死腔量の150mlは変わりません。ですから浅く息をして250ml空気を取り込むと、肺に到達するのは100mlだけですが、深く息を吸い込んで1000ml取り入れれば肺には850ml到達します。このような訳で、登山の時にはゆっくり深く吸い込み、しかも2回吸って2回吐くというのが空気を効率的に活用する方法になります。

山道を歩く時にもう1つ注意したいのは、息は鼻から吸って口から出すという点です。口から吸うと喉が乾燥してしまうので必ず鼻から吸います。また疲れてくるとどうしても口を開け「ハーハー」と息をするようになりますが、こうすると疲れが増します。息を吐くときには口すぼめて、「フッ、フッ」というように吐きましょう。

休憩時には

疲れて休憩する時、また高山病になった時には多くの酸素を取り込むことにより症状が改善されます。そのために効果的な2つの方法があります。

(1)腹式呼吸

これは横隔膜を使う方法ですが、息を吸ったときに横隔膜は収縮すると、胸郭が上下に広がって肺に空気が取り込まれます。逆に息を吐くときに横隔膜が緩み、胸郭が狭くなって肺から空気が出ていきます。実際にやってみるときには、ゆっくりと鼻から息を吸い込み、へその下に空気を溜めていくような気持でお腹を膨らませます。それから、お腹をへこませながらゆっくりと息を吐いていきます。

(2)有圧呼吸

これは深く息を吸い込んでから、胸に力を入れながら2秒ほど止めて、ゆっくり吐き出すという方法です。これを5~6回繰り返すと、血液中の酸素濃度が上がるので症状が改善されます。高山病になると頭痛や吐き気、倦怠感、血圧の上昇などの症状が現れます。酸素の供給量が少なくなって内耳の機能が落ち、平衡感覚に問題が生じてめまいがすることもあります。高山病になった時には下山するのが根本的な解決策です。応急処置をしても症状が残る場合は、無理をせずに登山を中止しましょう。

また、気分が悪い時には荷物を降ろしてすぐに横になりたくなりますが、すぐに休むと心臓も休む態勢に入ってしまい、酸素の供給が減ってしまいます。それで、ザックを下ろしたら、ゆっくり息をしながら少し歩いて徐々に体を休ませるのがいいでしょう。

登山前に知っておきたい疲れにくい歩き方

平地を歩くのとは違い、山道ではかなりスタミナを消耗します。初めて登るときには、張り切り過ぎて最初からペースを上げがちになりますが、そのような歩き方をすると体力が持たず、体調を崩してしまい登山を十分楽しめなくなってしまいます。ですから疲れにくい歩き方を習得し、筋肉をほぐすためのストレッチを行い、適度な休憩を取ることはとても大切です。そのようにすれば、周りの景色を楽しみながら、初めての登山を満喫できるでしょう。

登りの歩き方

山道には石や木の根などが至る所にあり、つまづきやすい状況になっています。登るときには膝を上げるようにして、転倒や滑落の危険を避けます。また、背中を丸めないようにして、頭から後ろ足までのラインがまっすぐになるようにします。まっすぐにすると、背骨で荷物を支えることができ、筋肉に対する負担が減るので疲労が軽減されます。

足を踏み出す時には外側に開きます。傾斜が大きいところでは足を開く角度も大きくします。こうすると足首を曲げる角度が少なくて済むので、足首にかかる負担を減らすことができます。足を開くとバランスがとりにくくなるので、進行方向の直線上にかかとを置くような気持で歩くと体が安定します。

着地は足の裏全体でし、後ろに引いている脚の重心を徐々に前の脚に移動させるように意識します。また、着地する時は、靴一足分の長さを超えないようにして、小さな歩幅で登ります。さらに、腕を大きく振って歩くと、全身の筋肉がよく動くので、下半身だけに負担がかかるのを防ぐことができ、疲労を軽減できます。急いで登ると疲労が増すので、ゆっくりと、しっかり呼吸をしながら登ります。呼吸が乱れてきたら、速度を落として登りましょう。

階段は傾斜の道に比べると滑りにくいので登りやすいのですが、一気に登ると疲れてしまいます。ですから、やはりゆっくりと、そして反動をつけずに登ります。階段も、後ろ脚に重心を残したまま前の脚に重心を徐々に移動させるという方法で登りましょう。この時に体をまっすぐ上に伸ばすような気持で登ると疲れにくいです。

下りの歩き方

下るときも重心のかけ方や姿勢は同じです。違う点は足を開いたり、膝を高く上げる必要がないということです。下りの時は膝を傷めやすいので重心をゆっくり前に移動させるようにしましょう。また、下りる時には腰を曲げがちになりますが、そうすると滑りやすくなるので、体の線が地面に対して垂直になるように意識します。勾配がかなり急な場合は、腰を落としてわずかに前傾姿勢になり、歩幅を小さくしてゆっくり下りましょう。

途中で疲れたら

登りや下りの時に疲れを感じたら、無理して歩き続けないで休憩してストレッチを行います。

休憩のとり方

出発してから20~30分後ぐらいはまだ疲れていないかもしれませんが、ザックのフィット感や靴ひもの絞め具合などを確認するために休憩します。違和感を持ったまま登り続けるのは疲労や事故につながるので、きちんと確認しましょう。チェックを終えて登山を再開したら、その後の休憩の目安は40~50分毎に5~10分です。もちろん個人の体力やコースによって休憩のとり方は多少違ってきます。ただ、あまり長く休憩してしまうと体が冷えて疲労が増すので休憩は短めに取りましょう。

休憩時には水分補給も忘れないようにしましょう。喉が渇いていなくても、飲む必要があります。また、一気にたくさん飲むのではなく少量の水をこまめに補給するようにします。

ストレッチ

休憩の際にはストレッチも行うようにします。登山ではお尻や太もも、ふくらはぎに常に負荷がかかるので、筋肉が硬くなっていきます。ストレッチで筋肉をほぐすと血流がよくなって栄養素や酸素が十分いきわたるようになるので、筋肉の働きがよくなります。頂上に着いたときにも食事の前に、ストレッチをすると血流がよくなってエネルギー補給が効果的にできます。ベンチに座ってお尻の筋肉をほぐすには、右足を左足の太ももに乗せて状態を前に傾けます。太ももの前の筋肉をほぐすには、立った状態で片足のかかとをお尻に着けるようにします。太ももの後ろの筋肉のストレッチは、足を前後に開き、前に出した足のかかとを上げて上体を前に倒します。これらのストレッチをいずれも左右交互に5~10回行います。

山を下りる時にも登る時と同様に途中でストレッチをします。登るときよりも体は楽に感じるかもしれませんが、関節や腱に負担がかかっているので、定期的に時間を取ってストレッチする必要があります。また、下山したらすぐに座り込んだりしないで、少し平らな道を歩いてからストレッチします。左右に足を開いて斜め前屈をすると腰と背中のストレッチができます。登山前と同様に太もも、ふくらはぎ、お尻などの筋肉もほぐします。下山後もストレッチを行うことで、痛みが生じるのを防ぐことができます。入浴した後にさらにストレッチを行えばより効果的です。

登山前日と当日の準備 ストレッチも忘れずに!

備えあれば憂いなしと言われるように何事にも事前の備えというのが大事です。初めての登山を楽しいものにするためにも事前の準備が欠かせません。必要なものを持って行かないと、不便ですし危険なこともあります。持ち物だけでなく、病気になったり怪我をするというリスクを少なくするために必要な準備もあります。また、前日だけでなく現地についてから登り始める前にするべき準備もあります。それぞれのチェックポイントについて考えてみましょう。

登山前日のポイント

楽しく安全に山に登るためにはいくつかのポイントを押えておく必要があります。登山前日にはどんな準備が必要でしょうか。

(1)持ち物チェック

山に登り始めてから、あれを持ってくればよかった、あれがあればもっと楽だったなどと後悔しないように、前の日に必要なものをきちんと準備しておきましょう。まずは登山靴かトレッキングシューズを用意します。山登り専用の靴はソール(靴底)が硬いので傾斜がきつい坂でも疲れにくく、また、くるぶしまで覆うような作りになっているので、急な下り坂も比較的楽に歩くことができます。一方、トレッキングシューズはソールが柔らかいので傾斜の少ない道を歩くのに適しています。くるぶしまで覆われていないので、足首が固定されず歩きやすいというメリットもあります。

ザックも必要です。ザックは普段使っているリュックサックと違い、たくさんの荷物を入れても疲れにくく、またバランスよく荷物を入れられる設計になっています。レインウェアも用意します。山登り用のレインウェアは防水性に優れ、中に湿気がこもらないような作りになっています。

その他には、ザックカバー、水筒、ヘッドランプ、コンパス、防水腕時計、地図、計画書、エマージェンシーシート、筆記用具、ティッシュペーパー、ライター、ビニール袋、健康保険証のコピー、おやつ、非常食、絆創膏や消毒液、解熱剤などの薬、日焼け止め、リップクリームなどを準備しましょう。

(2)睡眠はたっぷりと

前日の夜遅くまで仕事で、あまり寝ていないとか、深夜に目的地まで運転していくので眠れないということもあるかもしれません。高い山に睡眠不足の状態で登ると高山病になることがあるので、注意が必要です。それほど高くない山でもやはり疲れて体調を崩しやすくなりますし、思考力や集中力も落ちるので怪我もしやすくなります。それで、前夜は十分睡眠をとり、どうしても夜間に運転する必要があるなら、到着してから必ず仮眠するようにします。

(3)天候・交通機関の状況を確認

目的地の地域の時間別の降水確率や予想気温を確認します。天気予報だと山の様子まではよくわからないので気象情報を見て雲の動き、山の天気を確認するようにしましょう。これらの情報は日本気象協会のサイトで確認できます。また、今は雨が上がっているけれど数日間雨が降っていた地域は地盤が緩くなっていることもあるので注意が必要です。

また、交通機関の状況も確認しておきます。車で山の登り口まで行く場合には、駐車場の状況も確認します。電車で行って、最寄駅からバスに乗る予定ならバスのダイヤをチェックします。季節によってダイヤの変更もあるのであらかじめ確認しておきます。タクシーを利用する場合は事前に電話番号や乗車場所などを調べておきましょう。

登山当日のポイント

山に登る当日にも確認事項があります。

(1)天候を再度チェック

到着してから雨雲レーダーを確認したところ天候が悪化しそうだと分かることがあります。そのような時には無理に登らないであきらめることも必要です。せっかく来たのに登れないとがっかりしますが、あらかじめ別のプランも考えておけば、それなりに楽しめるでしょう。

(2)トイレは必ず済ませよう!

山小屋にはトイレが設置されていますが、山小屋と山小屋の間が離れている場合もありますし、夜間は閉まっていることもあります。ですから、トイレは登る前に必ず済ませておきましょう。また、山小屋のトイレの維持管理はとても大変なので、トイレのつまりの原因になるようなものは決して流さないようにします。トイレでないところで用を足すと環境を汚染することになるので、携帯用トイレを持参しましょう

(3)きちんとストレッチをしよう!

山を登る前には肉離れなどのけがを防いだり、疲労を軽減するために必ずストレッチを行います。まず少し歩いて体を温めて、筋肉が伸びやすい状態にしてから行うのが効果的です。

上半身のストレッチをする時には両手を組んで呼吸をしながら上に伸ばしていきます。次に手を後ろで組んで、肩甲骨を中央に寄せながら胸を張ります。お尻の筋肉を伸ばすには両手を片方の足の膝に当て、そのまま持ち上げます。腿の前を伸ばすには足首を持ってかかとをお尻に近づけるようにします。

腿の後ろの筋肉のストレッチをする時には、まず足を前後に開き、前に出した足のかかとだけ地面につけて、逆の足を曲げながらお尻を突き出すようにします。ふくらはぎは足を前後に開いて、かかとが上がらないようにして重心を前にかけて伸ばしていきます。

登山のマナー守っていますか?

山登りの魅力は、都会では見ることができない美しい景色を楽しめること、新鮮な空気を思いきり吸えること、達成感を味わえること、山で出会う人たちとの交流を楽しめることなどです。これから登山を始めたいと思っている方なら、山でのマナーを知っておくと楽しく、また安全に山登りを楽しむことができます。登山のマナーと言っても特別なことではありません。周りの人たちや自然環境のことを思いやっていれば自然にできることばかりです。

登山道は右側通行で登り優先?

山登りをする時には右側を歩くか左側を歩くか地域によって異なります。右側通行のところが多いですが、左側通行のところもあります。どちら側を歩くかは暗黙の了解で、絶対的なルールではありませんが、どちら側を歩くかに関して共通の認識があれば、すれ違うたびに右往左往しなくても済むので、体力の浪費を避けることができます。

また、山登りでは原則として登り優先なので自分が下山している時に登ってくる人がいれば、山側に寄って待つようにします。谷側に寄ると、相手がつまづいて接触したりリュックサックがぶつかった時に、足を滑らせてしまうことがあり危険なので、できる限り山側に寄って登りの人が無理なく通れるようにしてあげます。

ただ、場合によっては、登りの人が下りの人に道を譲ることもあります。基本的なルールを知っておくのは必要ですが、最も大切なのは安全にすれ違えることです。お互いに声を掛け合いながら、臨機応変に対応しましょう。

「こんにちは」「ありがとう」の挨拶を忘れずに!

登山道で他の人とすれ違う時には挨拶をするのが基本です。黙ってすれ違うよりも笑顔で「こんにちは」と挨拶した方がお互いに元気が出ます。「頑張りましょう」「ごゆっくりどうぞ」「お先にどうぞ」などの励ましや気遣いのことばも嬉しいものです。

もし、道を譲ってもらったなら「ありがとう」も忘れないようにしましょう。疲れているかもしれませんが、最低限のマナーは守りたいものです。また、挨拶は自分の身の安全のためにも役に立ちます。挨拶をしていれば、万が一遭難にした場合に、目撃情報が捜索隊に提供されることがあるからです。

ゴミは必ず持ち帰ろう!

山に登っている最中に出たごみは持ち帰らないといけません。登山道でのポイ捨ては厳禁です。登りながら飴をなめたりすることもあるかもしれませんが、包み紙が風で飛ばないように注意しましょう。

山小屋にゴミ箱が設置されている場合、そこで購入した食べ物や飲み物のゴミは捨てることができますが、自分が持ってきた食品のごみを捨てることはできません。ゴミを下まで運ぶのにも人件費や輸送費がかかるので、自分の持ってきたゴミを捨てると注意されることがあります。せっかくの楽しい山登りも台無しになるので、ゴミは必ず持ち帰りましょう。

たくさんのゴミを持ち帰るのは面倒だと思う場合は、ゴミが出ないように準備の段階から工夫することができます。外箱から出して中身だけ持って行ったり、個包装のものは袋から出して1つにまとめるとゴミが少なくなります。また、密閉できる袋を持って行けばゴミを折りたたんで入れて、かさを少なくすることができます。

動植物は自然の中で楽しもう!

山登りをしていて可愛らしい鳥を見つけたら、ペットにしたいと思うかもしれませが、鳥を含めて動物を持ち帰ることはできません。鳥獣保護管理法では、野生の鳥獣を捕獲したり鳥の卵を採取することを禁じています。特別な理由がある場合にのみ都道府県知事あるいは環境大臣の許可を得て捕獲することができます。許可なく捕獲すると罰金刑や懲役刑に処されることがあります。ヒナを見つけた場合は保護してあげたくなるかもしれませんが、近くに親鳥がいて、人間が立ち去ってから世話をする場合があります。そのままそっとしておきましょう。

また、植物採取も自然公園法や自然環境保全法、種の保存法、森林法など様々な法律によって禁じられています。特別保護地区となっているところでは、動植物だけでなく石を持ち帰ることもできません。何千人もの人が、それぞれ自分の好きな鳥や植物を持ち帰ったとしたら、自然のサイクルが大幅に乱れてしまいます。動植物は自然の中で楽しみましょう。

歩きタバコとポイ捨ては厳禁!

歩きたばこも厳禁です。山登りの楽しみは都会では吸えない新鮮な空気を思う存分吸うことができるというところにもあります。ところが、歩きたばこをすると、他の人が強制的にたばこの煙を吸わされることになります。非喫煙者にとっては大変不愉快なことです。臭いもそうですが、タバコは約200種類の致死性有害物質を含んでおり、そのような有害なものを一瞬でも吸わされるというのは気持ちのいいものではありません。

タバコのポイ捨ても厳禁です。山火事の原因になりますし、捨てたフィルターを動物が食べてしまう恐れもあります。どうしても吸いたい場合は、マナーを守って周りに人がいない所あるいは風下で吸うようにし、吸い殻は携帯用の灰皿に入れて持ち帰りましょう。

山岳保険の選び方

山岳保険の存在自体、初心者にとってはあまり身近ではないでしょうし、それほど危険がない登山をしていれば必要ないと思いがちでしょう。ですが、たとえ低山やハイキングのような軽い山歩きでも、天候や思わぬ怪我、体調不良などの際には遭難や、事故につながる可能性があります。普段は多くの人が観光地として気軽に楽しめるような場所で、遭難者が出てしまうというケースもあるのです。ですから、定期的に山を歩いたり登山をしようと考えている人は、自分や周りの人のために、きちんと考える必要のある問題です。また、単発で契約できる保険もありますから、まだ本格的に登山を始めたわけでないという方も、山に行く場合には、是非検討してみていただきたいものです。

山岳保険とは

山岳保険に入っていないと起こるこんなリスク

山岳保険に入っておくべきだと言える大きな理由は、登山中の遭難の際にかかる費用が莫大だということです。ニュースなどで、遭難者を捜索している映像や、ヘリコプターで救助されている映像を見たことがあるかもしれません。救助されたことは非常に喜ばしいことですが、そのような映像の後に、山岳保険に入っていない登山者にとっては恐ろしい現実が待っています。実は、山での遭難の捜索費用は莫大な金額がかかります。公的機関の救助活動は税金で払われますが、民間の救助を頼む場合には数十万単位、民間ヘリなどを依頼した場合には、1分間に1万円とも言われ、数百万単位の金額になることもあります。保険なしで、このような費用を払うのは、相当な負担となります。だからと言って、家族は最低限の捜索で良いとは思えませんから、山岳保険に入っておかないと自分が困るだけでなく、家族など身近な人に大変な精神的・経済的負担をかけることになってしまいます。

山岳保険の種類

山岳保険は、登山の頻度などに合わせて、年間契約のものか、単発契約にするかを選ぶことができます。定期的に登山をする方であれば、年間契約のものが適していますが、年に数回程度、あるいはこれから登山を始めようという初心者の方は、登山の都度に単発保険へ契約する方が良いでしょう。対象も簡単に分けて2つの種類に分かれています。雪山を含むような本格的な登山を対象にしているものと、リスクの比較的低い、ハイキングや軽登山を対象にしているものです。保険によって適用範囲や、遭難の原因によって適用されないケースがあったりするので、内容を事前によく確認するようにしましょう。

山岳保険の選び方

まず、確認しておきたいのは、すでに加入している傷害保険などの補償がどの程度かということです。それほどハードな登山でない場合、既に加入している保険の補償範囲と重なる場合もありますし、特約でカバーできる場合もあります。そのうえで、自分の登山のスタイルや登る山などを考慮に入れながら、選択することができます。ハードな登山をする方の場合には、十分な捜索・救助費用の補償があるかなどを考慮して選ぶことが必要です。

おすすめの山岳保険

まず、おすすめしたいのが、モンベルの保険です。単発契約保険、年間契約保険ともバリエーションが多いのが魅力です。単発契約保険の「野あそび保険」は1泊2日から一週間まで、旅行の長さで選ぶことができます。多くの単発保険が、1泊単位や1カ月単位の中、特徴的だと言えるでしょう。長期契約の保険も、自分の登山スタイル合わせて申し込めます。

次に、単発契約できる山岳保険のおすすめですが、ドコモの「ワンタイム保険 しっかり」です。値段もお手軽でありながら、救援者費用が付いているのは魅力的です。また、ソフトバンクの「スポーツ・レジャー保険」も救援者費用がついています。こちらは、1日単位から1カ月での加入ができます。もう少ししっかりした保証が欲しいという方には、三井住友VIZAカードやYahooの保険は、保険料は少し高くなり、1カ月単位になりますが、救援者費用が500万円のものまで選べます。

年間契約のおすすめ山岳保険ですが、木村総合保険事務所の保険は、お手頃な保険料でありながら、救援者費用が高額なので、おすすめです。また、「日本山岳救助機構会員制度(jro)」は山での遭難に特化した内容となっている点で、実際的だと言えます。また、日本山岳協会の山共済会の「JMA山岳保険」も登山スタイルに合わせて選べる山岳保険で、保証もかなりしっかりしている保険です。これらの保険は、保険に加入するだけでなく、会員になることで遭難しないための講習会や講演会があるのも魅力です。既に傷害保険に入っていて、保証がそれなりについているという方の場合、捜索や救助に特化した「レスキュー費用保険」に加入するという考え方もあります。ぜひ、ご自身の加入しておられる保険の内容を確認したうえで、登山スタイルなどに合った保険を探してみてください。