山岳保険の存在自体、初心者にとってはあまり身近ではないでしょうし、それほど危険がない登山をしていれば必要ないと思いがちでしょう。ですが、たとえ低山やハイキングのような軽い山歩きでも、天候や思わぬ怪我、体調不良などの際には遭難や、事故につながる可能性があります。普段は多くの人が観光地として気軽に楽しめるような場所で、遭難者が出てしまうというケースもあるのです。ですから、定期的に山を歩いたり登山をしようと考えている人は、自分や周りの人のために、きちんと考える必要のある問題です。また、単発で契約できる保険もありますから、まだ本格的に登山を始めたわけでないという方も、山に行く場合には、是非検討してみていただきたいものです。
山岳保険とは
山岳保険に入っていないと起こるこんなリスク
山岳保険に入っておくべきだと言える大きな理由は、登山中の遭難の際にかかる費用が莫大だということです。ニュースなどで、遭難者を捜索している映像や、ヘリコプターで救助されている映像を見たことがあるかもしれません。救助されたことは非常に喜ばしいことですが、そのような映像の後に、山岳保険に入っていない登山者にとっては恐ろしい現実が待っています。実は、山での遭難の捜索費用は莫大な金額がかかります。公的機関の救助活動は税金で払われますが、民間の救助を頼む場合には数十万単位、民間ヘリなどを依頼した場合には、1分間に1万円とも言われ、数百万単位の金額になることもあります。保険なしで、このような費用を払うのは、相当な負担となります。だからと言って、家族は最低限の捜索で良いとは思えませんから、山岳保険に入っておかないと自分が困るだけでなく、家族など身近な人に大変な精神的・経済的負担をかけることになってしまいます。
山岳保険の種類
山岳保険は、登山の頻度などに合わせて、年間契約のものか、単発契約にするかを選ぶことができます。定期的に登山をする方であれば、年間契約のものが適していますが、年に数回程度、あるいはこれから登山を始めようという初心者の方は、登山の都度に単発保険へ契約する方が良いでしょう。対象も簡単に分けて2つの種類に分かれています。雪山を含むような本格的な登山を対象にしているものと、リスクの比較的低い、ハイキングや軽登山を対象にしているものです。保険によって適用範囲や、遭難の原因によって適用されないケースがあったりするので、内容を事前によく確認するようにしましょう。
山岳保険の選び方
まず、確認しておきたいのは、すでに加入している傷害保険などの補償がどの程度かということです。それほどハードな登山でない場合、既に加入している保険の補償範囲と重なる場合もありますし、特約でカバーできる場合もあります。そのうえで、自分の登山のスタイルや登る山などを考慮に入れながら、選択することができます。ハードな登山をする方の場合には、十分な捜索・救助費用の補償があるかなどを考慮して選ぶことが必要です。
おすすめの山岳保険
まず、おすすめしたいのが、モンベルの保険です。単発契約保険、年間契約保険ともバリエーションが多いのが魅力です。単発契約保険の「野あそび保険」は1泊2日から一週間まで、旅行の長さで選ぶことができます。多くの単発保険が、1泊単位や1カ月単位の中、特徴的だと言えるでしょう。長期契約の保険も、自分の登山スタイル合わせて申し込めます。
次に、単発契約できる山岳保険のおすすめですが、ドコモの「ワンタイム保険 しっかり」です。値段もお手軽でありながら、救援者費用が付いているのは魅力的です。また、ソフトバンクの「スポーツ・レジャー保険」も救援者費用がついています。こちらは、1日単位から1カ月での加入ができます。もう少ししっかりした保証が欲しいという方には、三井住友VIZAカードやYahooの保険は、保険料は少し高くなり、1カ月単位になりますが、救援者費用が500万円のものまで選べます。
年間契約のおすすめ山岳保険ですが、木村総合保険事務所の保険は、お手頃な保険料でありながら、救援者費用が高額なので、おすすめです。また、「日本山岳救助機構会員制度(jro)」は山での遭難に特化した内容となっている点で、実際的だと言えます。また、日本山岳協会の山共済会の「JMA山岳保険」も登山スタイルに合わせて選べる山岳保険で、保証もかなりしっかりしている保険です。これらの保険は、保険に加入するだけでなく、会員になることで遭難しないための講習会や講演会があるのも魅力です。既に傷害保険に入っていて、保証がそれなりについているという方の場合、捜索や救助に特化した「レスキュー費用保険」に加入するという考え方もあります。ぜひ、ご自身の加入しておられる保険の内容を確認したうえで、登山スタイルなどに合った保険を探してみてください。