登山をするにあたり、みなさんしっかりと準備をしてくるでしょう。もちろん、前日にはしっかりと睡眠をとるなどの基本的なところはおさえているはずです。しかし、どんなに準備を整えても、どんなに気をつけていても、想定していない事態が起きてしまうことがあります。それが病気や外傷捻挫などの怪我です。登山途中での病気や怪我は、その程度によってはすぐさま登山を中止して下山することを考えてくてはなりません。また、山では基本的に応急処置しかできませんが、その応急処置によってその後の病状にも影響がありますので、どんなトラブルに見舞われても、冷静に対応できるように怪我や病気に関する知識を蓄えておきましょう。
脱水・熱中症
登山をしているとよく見かけるのが、脱水症状や熱中症です。登山は思った以上に体力を消耗します。そして、それと同時に多くの水分を奪われていきます。知らず知らずのうちに水分を失ってしまい、脱水症状になっている場合があるのです。
山によってはトイレが設置されていたり山小屋がありますが、そうではない山もあります。ですから、なるべくトイレに行かなくていいようにと水分の摂取を控えてしまうと、脱水症状を起こしてしまいます。このような症状を予防するためには、やはりこまめな水分補給が欠かせません。同時に塩分を摂取することも忘れてはいけません。塩分と水分をしっかり補給することで、予防ができます。
これらの対策は熱中症予防にも効果があります。登山は見た目以上にハードですから、汗をたくさんかきますし太陽の日差しにさらされて熱中症になってしまうこともあります。帽子やタオルなどで頭部や首を覆ったり、冷たい水で体を冷やすなどの対策も欠かせません。
低体温症
人間の体温は、ほんの少し下がっただけで低体温症となり体が機能しなくなります。一般的には34度より下がると死の危険があると言われているほどです。登山における低体温症は、実はそう珍しいことではありません。山を登っているんだから汗をかいて体は熱くなっていると思われがちですが、山の上は地上よりも気温が低く、その上とても強い風が吹いています。ですから、汗で濡れた服や雨に濡れた服は、時として一気に身体中の体温を奪っていくのです。
そうした事態を避けるためには、まずインナーは汗が乾きやすい素材のものを着ることをお勧めします。スポーツや登山向けのウエアにはこういったものがたくさんあります。そして、アウターにはゴアテックスのような、しっかりと水を弾いてくれるものを着ましょう。もちろん、雨に備えてレインウエアを準備しておくのも良いです。山の天気は非常に変わりやすいので、さっきまで晴天で暑かったと思ったら、急に雨が降り出し気温が一気に下がります。ですから、こうした備えは欠かせません。ただし、常に着込みすぎていると、体温が上昇しすぎて脱水や熱中症になってしまう恐れがあるので、暑いと思ったら一枚脱ぐなど状況に応じて調整をしましょう。
高山病
高山病は、山に登って行って気圧が低くなると起きる病気です。気圧が低くなっているために、呼吸で体内に取り込むことができる酸素の量が少なくなってしまうことで高山病となります。登山に向けてしっかりと睡眠をとり体調を整えていても、なる時にはなってしまうのが高山病の怖さです。高山病はまず頭痛などの軽い初期症状から始まります。そして、次第に疲労感に見舞われたり、めまいや吐き気などが襲ってきます。こうした症状が現れた場合、まずは休みましょう。ただし、寝るのではなく歩いたりして体を動かしていた方が症状が改善しやすいと言われています。休憩をして症状がなくなればいいですが、もしも変化がなかったり、より悪化した場合にはそれ以上進むのはやめて下山するようにしましょう。
外傷
山では思わぬ怪我に見舞われる可能性が有ります。例えば転んだり、どこかにぶつかったり擦りむいたり、こうした外傷は割とよくあることです。ですから、山を登る際には、ファーストエイドキットを持参することをお勧めします。ファーストエイドキットとは、応急処置用の救急箱のようなもので、絆創膏や消毒液などが入っています。大怪我をしてしまった場合は、救助が必要となる場合がありますが、そこまでではない怪我や、救助が来るまでの応急処置にはファーストエイドキットが役立ちます。
捻挫
登山道は決して路面状況は良くありません。山によっては崖のようなところをよじ登ったり、道ではないような場所を通ることがあります。そうした場所を歩いていれば、時には足を捻挫してしまうことだってあります。でも、山の途中で捻挫してしまったからといって、そこで立ち止る訳にはいきませんよね。ですから、もしもの捻挫に備えて必ずテーピングを持参しておきましょう。そして、万が一捻挫してしまった場合には、足首を固定するなどして痛みを和らげる処置をし下山しましょう。そして、下山後は患部を冷やし、病院へ行きましょう。