普段から歩く習慣がある人でも、いきなり登山に行くのは危険です。ましてや、スポーツもしばらくしていなかったというような場合には、いきなり登山をすると、それほどのハードな登山でなくても、かなりきつくなります。ですから、登山を始めると体を鍛え、登山のためにトレーニングを始めようと考える方は少なくありません。もちろん、月に1回などと決めて、定期的にハイキングやトレッキング、低山を登ることでトレーニングをすることは効果的ですが、だれもが、定期的に行えるトレーニングではありません。また、細かい筋力や持久力のトレーニングとしては、日頃から小まめに行えるトレーニングが実際的で、効果的だと言えるでしょう。では、不安の無い状態で登山を楽しむ為には、具体的にどんなトレーニングが効果的なのでしょうか。
持久力アップのトレーニング
まず、基本的なトレーニングとして取り入れたいのは、持久力アップのためのトレーニングです。様々なスポーツの中でも、登山は、かなり長時間身体を動かし続けるものの一つだと言えるでしょう。そのためには、体力と持久力が必要になります。持久力には、心肺持久力と筋持久力があります。心肺持久力は、呼吸循環能力を高める、持久力としてイメージしやすいものです。身体全体を使う有酸素運動によって鍛えることができます。具体的には、ランニングや水泳、サイクリングなどが挙げられます。大事なのはスピードではなく、30分から1時間程度かけて、高負荷と低負荷を繰り返しながら行なうことです。週3回程度できると理想的ですが、とにかく続けるために、一週間に1回でも行なうことを目標にするといいかもしれません。持久力というと、心肺持久力のみをイメージしがちですが、これと同時に鍛えなければならないのが、筋持久力です。これは、筋力を長時間働かすことのできる力で、せっかく心肺持久力が鍛えられていても、筋肉がその動きに耐えられなければ、トレーニングは十分ではありません。
筋力アップのトレーニング
既にお伝えしたように、せっかく心肺持久力を鍛えたとしても、筋持久力が鍛えられていないと、体力的には余裕があったとしても、登山を続けることはできません。ですから、筋力アップのためのトレーニングも非常に重要です。筋力アップトレーニングのポイントは、登山に必要な筋肉を重点的に鍛えていくということです。登山に重要なトレーニングとしては、腹筋、背筋、そして太ももの大腿四頭筋です。腹筋と背筋はバランス良く鍛えることで、負担をかけすぎずに済みます。大腿四頭筋は、スクワットやハーフスクワットで鍛えることができます。10回1セットとして、最初は1セットから始め、できるようになったら3セット位するようにしましょう。正しい方法で行わないと、痛めてしまうこともあるので、正しい方法を確認して行ないましょう。また、痛みがある場合には無理をしないで、お医者さんなどに相談してください。これも持久力トレーニングと同じように週1回を最低限として、慣れてきたら週3回程度にできると良いでしょう。
柔軟性のトレーニング
登山では足元が悪い山道、場合によっては岩場などを歩くことになります。特に疲れが出てきたりすると、躓いたり、不安定な足元でバランスを崩したりすることが出てきます。そのようなときに柔軟性があれば、体勢を立て直すことができたり、身体を守ることができます。それで、うちどころが悪くて大けがをしたり、身体の筋を痛めて動けなくなってしまったりということを避けられる可能性が高くなります。柔軟性を高めるためにはもちろんストレッチが重要です。具体的には、太ももの裏側を、足の裏をしっかりつけて、前屈で伸ばしたり、片足で立って、もう片方の足をお尻につけて太ももの前側を伸ばしたりできます。伸びた状態を10-20秒キープしましょう。この際に、呼吸はしっかり続けるようにしてください。他にも、アキレス腱を伸ばしたり、足首を回したりすることも効果的です。
体幹のトレーニング
柔軟性と同じように、躓きそうになった時や足場の悪い所でもバランスを保ち続けて安全に登山を続けるには、体幹を鍛えておくことも重要なポイントとなります。また、危険な場面でなく普通に山を登っているだけにしても、前傾姿勢を保ったり、歩いているときの着地の際にバランスを保つことで、身体にかかる負担は大きく変わってきます。特に下る時に重心の移動が良くないと、足や腰に負担がかかり過ぎてしまい、身体を痛める原因になりかねません。体幹を鍛えるのにおススメしたいのが、プランクやダイアゴナルクロスとも呼ばれる体幹トレーニングです。また、ヨガのポーズも効果的です。木のポーズやハイランジは筋力もつけながら、体感を鍛えることのできるものです。ここで挙げたトレーニングは、登山だけでなく、日常生活にも効果的ですし、体型を保つうえでも効果的なトレーニングですから、ぜひ、早速始めてみてください。