備えあれば憂いなしと言われるように何事にも事前の備えというのが大事です。初めての登山を楽しいものにするためにも事前の準備が欠かせません。必要なものを持って行かないと、不便ですし危険なこともあります。持ち物だけでなく、病気になったり怪我をするというリスクを少なくするために必要な準備もあります。また、前日だけでなく現地についてから登り始める前にするべき準備もあります。それぞれのチェックポイントについて考えてみましょう。
登山前日のポイント
楽しく安全に山に登るためにはいくつかのポイントを押えておく必要があります。登山前日にはどんな準備が必要でしょうか。
(1)持ち物チェック
山に登り始めてから、あれを持ってくればよかった、あれがあればもっと楽だったなどと後悔しないように、前の日に必要なものをきちんと準備しておきましょう。まずは登山靴かトレッキングシューズを用意します。山登り専用の靴はソール(靴底)が硬いので傾斜がきつい坂でも疲れにくく、また、くるぶしまで覆うような作りになっているので、急な下り坂も比較的楽に歩くことができます。一方、トレッキングシューズはソールが柔らかいので傾斜の少ない道を歩くのに適しています。くるぶしまで覆われていないので、足首が固定されず歩きやすいというメリットもあります。
ザックも必要です。ザックは普段使っているリュックサックと違い、たくさんの荷物を入れても疲れにくく、またバランスよく荷物を入れられる設計になっています。レインウェアも用意します。山登り用のレインウェアは防水性に優れ、中に湿気がこもらないような作りになっています。
その他には、ザックカバー、水筒、ヘッドランプ、コンパス、防水腕時計、地図、計画書、エマージェンシーシート、筆記用具、ティッシュペーパー、ライター、ビニール袋、健康保険証のコピー、おやつ、非常食、絆創膏や消毒液、解熱剤などの薬、日焼け止め、リップクリームなどを準備しましょう。
(2)睡眠はたっぷりと
前日の夜遅くまで仕事で、あまり寝ていないとか、深夜に目的地まで運転していくので眠れないということもあるかもしれません。高い山に睡眠不足の状態で登ると高山病になることがあるので、注意が必要です。それほど高くない山でもやはり疲れて体調を崩しやすくなりますし、思考力や集中力も落ちるので怪我もしやすくなります。それで、前夜は十分睡眠をとり、どうしても夜間に運転する必要があるなら、到着してから必ず仮眠するようにします。
(3)天候・交通機関の状況を確認
目的地の地域の時間別の降水確率や予想気温を確認します。天気予報だと山の様子まではよくわからないので気象情報を見て雲の動き、山の天気を確認するようにしましょう。これらの情報は日本気象協会のサイトで確認できます。また、今は雨が上がっているけれど数日間雨が降っていた地域は地盤が緩くなっていることもあるので注意が必要です。
また、交通機関の状況も確認しておきます。車で山の登り口まで行く場合には、駐車場の状況も確認します。電車で行って、最寄駅からバスに乗る予定ならバスのダイヤをチェックします。季節によってダイヤの変更もあるのであらかじめ確認しておきます。タクシーを利用する場合は事前に電話番号や乗車場所などを調べておきましょう。
登山当日のポイント
山に登る当日にも確認事項があります。
(1)天候を再度チェック
到着してから雨雲レーダーを確認したところ天候が悪化しそうだと分かることがあります。そのような時には無理に登らないであきらめることも必要です。せっかく来たのに登れないとがっかりしますが、あらかじめ別のプランも考えておけば、それなりに楽しめるでしょう。
(2)トイレは必ず済ませよう!
山小屋にはトイレが設置されていますが、山小屋と山小屋の間が離れている場合もありますし、夜間は閉まっていることもあります。ですから、トイレは登る前に必ず済ませておきましょう。また、山小屋のトイレの維持管理はとても大変なので、トイレのつまりの原因になるようなものは決して流さないようにします。トイレでないところで用を足すと環境を汚染することになるので、携帯用トイレを持参しましょう
(3)きちんとストレッチをしよう!
山を登る前には肉離れなどのけがを防いだり、疲労を軽減するために必ずストレッチを行います。まず少し歩いて体を温めて、筋肉が伸びやすい状態にしてから行うのが効果的です。
上半身のストレッチをする時には両手を組んで呼吸をしながら上に伸ばしていきます。次に手を後ろで組んで、肩甲骨を中央に寄せながら胸を張ります。お尻の筋肉を伸ばすには両手を片方の足の膝に当て、そのまま持ち上げます。腿の前を伸ばすには足首を持ってかかとをお尻に近づけるようにします。
腿の後ろの筋肉のストレッチをする時には、まず足を前後に開き、前に出した足のかかとだけ地面につけて、逆の足を曲げながらお尻を突き出すようにします。ふくらはぎは足を前後に開いて、かかとが上がらないようにして重心を前にかけて伸ばしていきます。